W-10 頭部本体

POM製 特殊機構部品

本製品は、外観上はシンプルな円筒形ながら、内部と外部に複雑な形状を持つ特殊機構部品です。耐久性と加工性に優れたPOM(ポリアセタール)を素材に用い、NC旋盤およびボール盤を駆使した精密加工によって製造されています。


1. 非対称構造による複雑な加工

この部品の特徴は、芯からずれた側面の穴および内側のえぐれたような溝形状にあります。正確な軸芯からずれた位置に穴を設けることで、取り付けや機構動作に独自の制御性を持たせています。また、内側の溝は、ただのリング状ではなく「えぐれ」を伴う構造で、内部に収まる別パーツのガイドやロック機構として機能しています。


2. NC旋盤による筒形状と内径ネジ加工

外形および内部のネジ切りは、NC旋盤によって高精度に加工されており、ネジ山のピッチや深さも均一に成形されています。ネジ部は、反対側の機構との着脱を繰り返す用途を前提としており、樹脂でありながら強度と耐摩耗性に優れたPOMが活きています。


3. 手間のかかる多軸ボール盤加工

反対側の穴加工や、側面に設けられたオフセット穴の加工には、治具を用いた多軸ボール盤加工が行われています。特に芯ずれ穴は、通常の旋盤加工では不可能なため、手動位置合わせや専用治具を使用することで高精度を確保しています。


このように、本製品は外観以上に高度な設計と加工技術が求められる部品であり、POMの特性を最大限に活かしながら、精密な機能を持たせた逸品です。見えない部分での工夫が光る、技術者のこだわりが詰まった高機能樹脂パーツと言えるでしょう。

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